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残業代請求
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残業代請求の方法
 
 

残業代請求の時効は短い

 残業代請求の時効は2年間と非常に短くなっています(労働基準法第115条)。
 したがって、例えばちょうど2年前に退職した場合、速やかに請求すれば、2年分(14か月分)の請求ができますが、請求が1か月遅れるごとに13か月分、12か月分と請求金額が目減りしていきます。
 時効の進行を止めるためには、訴訟や労働審判など裁判上の請求をするか、会社に残業代の支払義務があることを認めさせることによって、時効を中断しなければなりません(民法第147条)。
 ただし、裁判上の請求の前に、内容証明にて請求しておけば、催告という効果が生じ、6か月間、時効の期間が延長されます(民法第153条)。
 しかし、この場合でも、延長した6か月以内に、裁判上の請求を行う必要がありますので、速やかな判断・手続が求められます。

残業代請求に必要な資料

 残業代は、能力の優劣に左右されるものではなく、また、理美容業や運送業など、一見、独立した自営業のようであっても、フリーランスの個人事業主として請負契約を締結しているのではなく、 労働契約のもとに働いているのであれば、残業代が発生します。
 しかし、実際に残業代を会社(雇用主)に請求するためには、労働者において、残業(時間外労働)を行ったことを立証しなければなりません。
 したがって、在職中の内に、以下のような、残業代請求をするための客観的な資料をできるだけ確保しておくことが肝心です。

労働時間を立証するための資料
 ○ タイムカード(及びこれに類するもの)
月締めの都度、撮影やコピーをとるなどして残しておくとよいでしょう。
会社が、タイムカード(及びこれに類するもの)によって出退勤時間を管理しておらず、タイムカード類が存在しない場合は、その他の方法により、総合的に立証していくことになります。
 ○ 入退出記録
勤務先への入退出をICカードなどで管理している場合、その入退出履歴。
 ○ パソコンのログデータ
労働者ごとにパソコンが割り当てられている場合、その起動とシャットダウンのログデータ。
 ○ 手帳などのメモ書き
継続的に記録されている手書きメモは、有効な資料となり得ます。
 ○ メールの送受信履歴
たとえば業務日報を送信してから退勤するという社内ルールがある場合などは、退勤時間を推定することができます。
 ○ タコグラフ(運行記録計)
ラックドライバーの方の場合は、タコグラフ(運行記録計)のデータも有効です。
道交法上、運送事業者は、車両総重量が7トン以上または最大積載量が4トン以上の車両については、運行記録義務があり、かつ1年間の記録保存義務があります。

時間外労働賃金の単価を計算するための資料
 ○ 給与明細
口座に振り込まれている金額だけではなく、支給と控除の内訳がわかる方が望ましいため、処分せずに保管しておいてください。
 ○ 労働条件がわかる資料(就業規則・賃金規定・雇用契約書など)
会社から交付されていたり、入手することができる場合は、保管しておいてください。
なお、これらがない場合であっても、法に基づき、算出することは可能です。

残業代請求の法的手続

 残業代の請求については、一般的には、資料に基づき算出した請求金額を、内容証明にて会社に請求するというところから始まります。
 ここで交渉により合意ができなければ、裁判上の手続へ移行します。

 残業代請求をはじめとする、労働者個人と事業主(会社・雇い主)との間に生じた労働関係に関する民事紛争(個別労働関係民事紛争)については、通常の民事訴訟に加えて、 「労働審判」という専門的な裁判上の手続が用意されており、いずれを選択してもよいのですが、労働審判には以下のような長所があることから、 近時では労働審判を利用するケースが増えています(ただし、証拠に弱さがあるなど労働審判によることが適さないケースもあります)。

労働審判は短期間で終了する
 労働審判では、「迅速な」解決を実現するために、その審理は、原則として、3回以内の期日で終結することになっています。
 この結果、労働審判は、申立から平均約2か月半で終了します。
 これに対して、民事訴訟の場合、労働関係訴訟は長期化する傾向があり、提訴から一審の終了までの期間は、1年を超えることが一般的です。

労働審判は解決率が高い
 労働審判では、「適正かつ実効的な」解決を実現するべく、その審理は、裁判官だけではなく、民間から選任される専門的な知識経験を有する労働審判員(労使双方各1名ずつ)を加えた労働審判委員会によって行われます。
 また、実際の手続においても、裁判官は、「審判」(裁判所が審理の結果なす判断)に至ることなく、「調停」(話し合い)による合意解決ができるよう、強く指揮進行していきます。
 事実、労働審判では、訴訟における和解による解決率(約50%)を大きく上回る、約70%が調停によって解決しています。